Book・書評


ここでは、わたくしが気に入っている本や書物をコメント付きでご紹介します。

独断と偏見が活きるコーナーです。ぜひ一度手に取って見てください。


天皇の平和 九条の平和

文藝評論家の小川榮太郎氏が平成29年9月に上梓した逸文。

現代日本で「平和」という言葉が、日本人の美しい心根とは逆に、思考停止の呪文になり、日本潰しを狙う内外の人たちの便利な道具にされていることを鋭く指摘。

成立以来絶えずマスコミやメディアの意味のない悪意に満ちた批判にさらされ続けてきた安倍政権がいかに国益を守ってきたか、その深淵に明仁天皇が腐心してきた平和の真の意味と、「平和」という便利な言葉で日本の善良な国民を支配しようとする共産主義者や左翼の実像、また彼らに占領されたメディアやエセ文化人、広告塔に利用されてしまっている著名人たちに再考を促す渾身の筆致。

遠い昔、大学時代に憲法を学んだは良いが、常に違和感を持ち続けたわたくし櫻木も心から賛同します。深く考え、静かに行動する時が来ていることを感じさせてくれる名著です。


暴走する資本主義

クリントン政権で労働長官を務めたロバート・ライシュ教授が2008年の6月に上梓した名著。

ともすると市民であり労働者である我々一般市民が政府や大企業に相対峙すると言う構図で説明される資本主義社会の仕組みを、そうではなく我々市民の有り様は一様ではなく多面的で、我々市民を苦しめているのは実は我々自身の別の姿であった、と言うように、平易に我々の社会の実相を鋭い視点で見抜いている。

2008年6月というリーマンショック以前に書かれていることも特筆される。


百憶の昼と千億の夜

原作 光瀬龍 1965年。萩尾望都によって1977年に漫画化。

プラトン、イエス、釈迦、阿修羅など世界の神々や哲学者、宗教上の指導者などが登場人物のSF。

宇宙の成り立ちを考えたとき、この世の造物主というものが果たして居るのか? 居るとしたらそれは我々人間を如何なるところへ導こうとしているのか? 自然に流れていると思われるこの世の森羅万象に何者かの作為が働いているとしたら?

神々を疑え!  宗教を疑え!  我々は何のために生まれて来て何処へ向かうのか、深く深く考えさせられる不朽の名著。


古事記

言わずと知れた我が国最古レベルの歴史物語。

最近はつとにブームになっているが、改めてよく読んでみると

おおらかで楽しい筆致がよくわかります。

天武持統の頃の為政者が苦心惨憺を重ねて紡いだ我が国の成り立ちの物語は一見荒唐無稽に見えますが、随所に史実が散りばめられていると確信できます。

日本人よりも寧ろ外国の方が読んでいると言われる古事記。

岩波文庫の原文に近い字体で読まれることをお薦めします。


11人いる!

萩尾望都によるSF漫画。1975年作品。

西暦2600年〜3000年代の未来に出来た宇宙大学での入試の物語。入試の最後に試されるある宇宙船内での密室ミステリー。

入試に残った宇宙の各地から集まった受験生が10人ずつのチームに分かれて最後に協調性の試験だと言われてチームごとにちらばる。ところが主人公が入っているチームは試験会場の宇宙船に着いてみると10人のはずが何故か11人いる!

誰が11人目の偽受験生なのか!?  受験生の悪戦苦闘が始まる。

先の見えない現代、我々の生き方に大きな示唆を与える名著。